1. 艶あり塗料の特徴とメリット

艶あり塗料は、その名の通り光沢感が強く、塗装後は外壁表面がツルツルに仕上がります。塗膜の分子構造が光をよく反射するため、太陽の光を浴びるとピカピカと輝き、新築時を思わせるような美しさを演出します。

表面が滑らかで凹凸が少ないため、ホコリや排気ガスの油分、カビの胞子などが付着しても雨で流れ落ちやすいのが大きな利点です。これを「セルフクリーニング効果」と呼び、結果的に汚れが付きにくく長期間美観を維持できるのです。

また、塗膜が硬く緻密であることから、紫外線による劣化にも強い傾向があります。外壁をできるだけ長くきれいに保ちたい、将来的なメンテナンスコストを抑えたいという方には、艶あり塗料が特におすすめです。

2. 三分艶塗料の特徴とメリット

一方で、三分艶塗料は光沢を抑えた落ち着いた仕上がりが魅力です。表面は艶ありよりもややざらつきがあり、光を乱反射させるため、上品でマットな質感になります。

特に和風住宅や重厚感のある外観、あるいは街並みとの調和を大切にしたい場合に選ばれることが多いです。艶を抑えることで「派手すぎない自然な美しさ」を表現できるため、デザイン性を重視されるお客様には好まれます。

ただし、艶を抑えるために生じる微細な凹凸が、ホコリや雨だれ汚れを引き寄せやすくなるのも事実です。つまり、艶ありに比べると汚れやすいという弱点があります。また、経年劣化が進むと、汚れがより目立ちやすくなる傾向があります。

3. 耐久性と経年変化の違い

塗装直後の美しさだけでなく、10年・15年先を見据えた場合の違いも重要です。

• 艶ありは塗膜表面が滑らかなため、長期間にわたり光沢と防汚性を維持しやすく、外壁の劣化もゆるやかです。紫外線に強い高耐候性塗料（フッ素・無機など）を選べば、さらにその差は大きくなります。

• 三分艶は経年とともに微細な凹凸に汚れが残りやすく、光沢がない分「くすみ」が目立ちやすい傾向にあります。見た目の変化が早めに現れる場合もあり、将来的には清掃や塗り替えサイクルを少し早めに検討する必要があるかもしれません。

4. プロとしてのご提案

ここまでの違いをまとめると、

• 汚れにくさ・メンテナンス性を優先するなら → 艶あり

• 落ち着いた質感・景観との調和を優先するなら → 三分艶

という選び方が最適です。

お客様に実際に塗り板サンプルをお見せすると、光の当たり方による印象の違いがよく分かります。写真や言葉だけでなく、実際のサンプルを比較いただくと、より納得感を持ってお選びいただけます。

まとめ

外壁塗装における艶の選び方は、単なる「好み」だけでなく、将来の美観維持とメンテナンス性に直結する重要なポイントです。艶ありは汚れにくく耐久性に優れる一方、三分艶は落ち着いた高級感を演出できます。

どちらが正解というわけではなく、建物のデザイン・お客様のライフスタイル・長期的なコスト意識に合わせて最適なご提案をすることが大切です。私どもプロの役目は、その違いを正しくお伝えし、お客様に最もご満足いただける選択をしていただくことだと考えております。