ストレート屋根は屋根材の中でも比較的安く、工期も短いため、現在の日本の屋根の多くを占めています。屋根塗装などのメンテナンスによって、スレート屋根を長寿命化できれば、ランニングコストも下げられます。
今回は耐用年数を延ばすための正しい塗装方法と注意点をご紹介していきます。
ストレート屋根の塗装は色を変えたくなったときにするもの、と思う方も多いかもしれませんが、美観だけではなく防水性を回復させることが本来の目的です。
苔や藻が繁殖してしまい茶緑色になった屋根や老朽化して傷付いたスレート屋根に塗装を施しても、綺麗にはなりますが耐用年数は伸びません。
そのような状態になる前に、高圧洗浄でしっかり汚れを落とし、適切な塗料に塗り替えることで耐用年数を伸ばすことができます。
屋根は常に「紫外線」や「雨風」など自然環境の刺激を受け続けているため、家のどこよりも傷みやすいものです。スレート屋根に施されている塗装はこれらの刺激を直接屋根材にいかないようにする役割があるのですが、塗装が剥がれてくると刺激が直に屋根材へ伝わってボロボロに…。
そのため、スレート屋根を劣化・刺激から守るため、改めてスレート屋根を守る塗装が必要となります。
例えば、屋根の劣化をそのままにすると、雨漏り(一次被害)の発生確率が高まるだけでなく、雨漏りが引き金となってシロアリ(二次被害)を呼び寄せる原因にもなってしまいます。スレート屋根の劣化は放置せずに、定期的な塗装が必要となります。
知っておきたいのは、塗装をしたからといって、屋根がすでに受けてしまっているダメージで引き起こされた劣化は、もとに戻すことはできないということです。塗装をすれば大丈夫と思う方も多いのですが、塗装はあくまでスレート屋根を環境ダメージから守るための保護材。そのため、塗装ではスレート屋根自体の劣化は直らないということです。
スレート屋根自体の劣化を直したい場合は、塗装ではなく屋根材を全部交換する葺き替えや、既存の屋根の上に重ねて屋根材を取り付けるカバー工法が必要となります。葺き替えもカバー工法も、塗装よりも費用(金額)が高いため、葺き替え・カバー工法をするかどうかしっかりと見極める必要があります。
スレート屋根の塗装のみと、スレート屋根の塗装と外壁塗装を同時に行う場合では、トータルでかかる金額が変わってきます。
屋根の塗装も、外壁の塗装も、塗装作業を安定しておこなうために仮設足場を組み立てる必要があります。塗装する建物の大きさにもよりますが、足場一つ組み立てるのに10万前後はかかります。
そのため屋根と外壁の塗装を別々に行った場合は、足場×2回分がかかるので、必然的に費用が高くなります。少しでも塗装費用を安くするには、屋根と外壁の同時塗装がオススメです。
そもそも塗装の本来の目的は、防水性を回復させることによって耐蝕性を高めるためです。金属に塗装すれば水と直接触れることがなくなりますので、錆びにくくなります。
スレート屋根も同様で、雨水に直接触れることがなければ吸水による膨張、水分が乾燥する際の収縮も起こりません。建材にとって膨張と収縮は多大なストレスであり、変形や欠け、割れに繋がります。繰り返せば、繰り返すほど脆くなっていくのです。
ほとんどの屋根には数多くの隙間が設けられていることをご存知でしょうか。
これらは通気のための隙間であって、結露の原因となる水蒸気や屋根材の下に入り込んでしまった雨水を排出とするためにあるのです。
スレート屋根も屋根材同士の重なり部分には全て屋根材の下に通じる隙間があります。この隙間は非常に狭く、屋根塗装をしてしまうと塞がってしまうこともあります。塞がったままにしておくと、水蒸気や入り込んだ雨水を排出できなくなり、雨漏りしてしまうのです。実際に点検してみると、通気や雨水排出のための適切な隙間が塗料で覆われてしまっていることが多くあります。つまり、スレート屋根を塗装する場合、適切な隙間を人為的に設けてあげなければならないのです。
この人為的に隙間を設ける工程を縁切りと言います。現在ではタスペーサーという製品を使って縁切りが行われています。下塗り後にポリカーボネイト製のタスペーサーを屋根材と屋根材の重なり部分に挿入し、中塗りの前に適切な隙間を確保するという工法です。
スレート屋根は流通量が多いのでメンテナンス製品である塗料も充実しています。夏の暑さを防ぐ遮熱塗料もあれば、色褪せなどの美観にこだわる方はラジカル制御型塗料も選べます。こうしたメンテナンスで新たな機能を付け加えられるのもスレート屋根の特長です。
自治体や環境省も認めているのが遮熱塗料です。東京都などではヒートアイランド現象を防ぐため、助成金を出している区がたくさんあります。
毎年のうだるような暑さや熱帯夜を思い出せば、助成金がない自治体にお住まいの方でも遮熱塗料で塗り替えたくなるのではないでしょうか。ほとんどの塗料で室温を約3℃低下させるという結果が出ています。
塗装で一番重要なポイントとなるのが、塗料の種類です。
どの種類の塗料を使うかで、スレート屋根塗装の寿命が決まってくるので、しっかり覚えておきましょう。
1990年代のスレート屋根には「アスベスト」が含まれている可能性が高く、その場合は「別途処分費用」がかかります。リフォームを検討する際は、別途処分費用についても事前に確認しながら進めていきましょう。
1990年代に起きた「アスベストの健康被害」をきっかけに、耐久性を高めるために使っていたアスベストを、2000年前後には使わなくなりました。2000年代後半になると耐久性は改善されましたが、2000年前後の製品は耐久性がなく、寿命が15年程のものもあります。そのため、2023年にはすでに寿命を迎えている可能性が高いため、塗装以外のリフォームがおすすめです。
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